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海炭市叙景

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海炭市叙景

ロマンチックなタイトルに惹かれて劇場へ

フランス映画のようなドラマチックな展開もなく,、歌舞伎のようなケレン味のこれぽっちもない。
ハリウッドの連中には理解できない映画であろう。

2時間半を超える長尺なのに観客を飽きさせなかったワケは、観客を「目撃者」として引きずり込む情景と心象のリアルな描写による。

とりわけ俳優たちの抑制のきいた奥深い表現は、映画がはねた帰り道でに熾(おこ)り火のように揺らめく。

ストーリーはただただ冷たく暗い。救いようのない絶望、映画サイトの論評に
「家族の再生」が微かなる希望として描かれているとあるが、それは嘘だ。

5つのストーリーからなるオムニバスであるが、ほのかに交錯する仕掛けがある。

実は、ワタクシもアナタも、あの人もこの人も、荒れ狂うような暗闇を心に沈めながら生きているのかもしれない。
生きていくには、そんなものを引っ張り出す必要はないし、気付かずに、あるいは調整して、そして助け合って生きている。

この映画がワタクシにつぶやいたのは、それでもみんな生きている、ってことかな。

薄暗がりの場面が美しい。
カメラワークに加えてデジタル処理技術でも日本映画の実力を発揮している。

これから映画の勉強をしようと思う若者は見てみるとよいだろう。

http://www.kaitanshi.com/
Commented by かみしろ at 2010-12-28 23:50 x
良い映画はそれを見た人の財産になるでしょう。
by hoppykosey | 2010-12-28 22:44 | 映画・舞台 | Comments(1)

お気楽にどうぞ


by ほっぴいこうせい