正統エロ映画 私の男
2014年 07月 06日
うヘぇ・・・・・
救いのないオハナシに終演後の観客は凍りついておりました。
「近親相姦」を描いたこの作品、桜庭一樹さん原作で2008年直木賞を受賞しました。
あとで知りましたが桜庭さんは若い女性。
正統エロ映画でもあります。
ストーリーは見てのお楽しみということにし感想を書きます。
書いてこの作品を自分から早く排泄したいのです(笑)。
ストーリーが進むにつれて不吉な予感が高まってきます。
騙されてもいいから僅かでもいいからこの父娘に共感したい、とか、
微かでもいいから温もりを、仄かでもいいから愛を・・
そんなワタクシの祈りと願いは葬り去られました。
この格別な後味のザラザラ感は70年代のATG作品群や日活ロマンポルノ作品を思い出させます。
日本映画お家芸である「暗闇」を描く底力です。
ところで、映像と音の美しさは超一流、芸術映画といえましょう。
とくに陰影や反射光の映像表現、抑制されたサウンドスケープの迫及力は見事です。
そして、極端に少ないセリフ。
この仕掛けが観客の想像力を掻き立て、観客が自分から作品の世界に入っていってしまうのです。
その先に待ち受けてたのが、知っているけど見たくなかった世界。
そこに自分で懐中電灯の光をあててしまうというわけです。
映画に詳しいトモダチが、「それでも生き抜く、その意味を伝えている作品だ」
と言ってましたが、ワタクシはこの作品の怖さに絶句するだけでした。
この「私の男」作品は今年のモスクワ国際映画祭で「グランプリ」と「最優秀男優賞」を受賞しました。
確かに名作です。