ニキ・ド・サンファル展 国立新美術館にて
2015年 10月 31日
ニキがARTによって「自分」を取り戻していった過程を作品で辿る展示構成。
なので彼女の人生に思いを馳せることとなりました。
若いころの、銃で絵の具を飛び散らす「射撃絵画」
彼女の瞳には暗い影があります。
彼女のフェミニズムは、35歳から制作された、鮮やかな原色で躍動する「ナナ」シリーズで「女性性賛歌」として開花しています。
その力強さは、平塚らいてう「原始、女性は太陽であった」というくだりを連想させます。
一方、絵手紙作品の
059「愛しい人、どうしてあなたは行ってしまったの?」
060「どうしてあなたは私を愛してくれないの?」
061「愛しい人、あなたは何をしているの?」
はストレートな切なさ。
だれでもこんなニキが好きになることでしょう。
ニキが最後に取り組んだのがイタリアのトスカーナに建設した「タロット・ガーデン」
一度行ってみたいものです。
彼女は1978年からここに住みこみ建設を開始、完成までに20年以上を費やしています。
ミュージアムショップで売られていた「タロット・ガーデン写真集」の解説には、この20年間の金銭的苦難、病魔との闘いが紹介されていて、彼女に対するリスペクトがさらに深まりました。
タロットガーデンの様子はここで知ることができます(PCでないと表示できないようです)
以前にワタクシが書いた文はこちらです
http://hoppykosey.exblog.jp/16416910/
http://hoppykosey.exblog.jp/17066028/
2012年12月30日のほっぴいこうせいBLOG(上記下段)では宮田京之亮さんのコメントを以下のように引用させていただきました。
ニキが本格的に芸術を志すきっかけとなったのには、重い神経症の発病があった。この最初期の彼女の油彩画は、彼女が子供時代に好きだった童話のイメージや様々な夢の断片が主題となっていて、ファンタジーな夢心地の世界観を強く表わしているのだが、この自伝的要素は、彼女の最晩年に至るまで貫かれるニキ作品の特徴とも言える。この同時期の制作物として、早くも彼女の攻撃的野性の発露ともとれる陶器、金属の破片によるコラージュ作品の制作が見られる。
今回の展示で、「重い神経症の発症」が11歳の時の実父による性的虐待を原因としていることが明らかにされています。 宮田さんが書いている「彼女の攻撃的野性」はニキが生まれ持っていた「野性」ではなく、恐怖の記憶が生み出したものと考えます。
国立新美術館にて開催中 12月14日まで
いやーすごいね。ちょっとこっちもおかしくなるね!