水族館劇場「望郷のオルフェ」 新宿花園神社
2018年 04月 20日
福島原発事故を題材とし「原発ジプシー」とよばれた期間雇いの作業員たちを劇団の基底にある「流浪」に重ね合わせた作品。
これまでの作品は遠い過去と現代が交錯し、説明的ではないままイメージが観客に丸投げされて分かりにくかった(笑)が、この「望郷のオルフェ」は震災前後10年間というスパンで、比較的分かりやすかった。
さて、水族館劇場の芝居は大がかりな外連味たっぷりの舞台仕掛けが魅力。
今回は劇場外で繰り広げられる前芝居で映像を使ったり、外の舞台がセットごとスライドして本舞台へ格納されるといった新趣向。
小雨降る新宿の夜空に浮かび上がる空中ブランコは幻想的で美しかった
劇場自体はもちろん仮設だがよく見ると全体が新しくなっていて垢抜けた印象。
非常灯が設置されたり、壁にへばりついていた信じられないほど危険な棚席がなくなっていて、私のようなオールドファンにとっては寂しくもある。
おまちかね「水落し」も仕組みが変わったためか勢いが今ひとつ。
もちろん初めて見た観客はびっくりしたと思うけど
「水落し」というのは芝居の最後に数十トンの水を一気に舞台に落としストロボで水幕を作りだし、その後に舞台の奥が開放されて転換し圧巻のエピローグとなる最大の見せ場。
今回はここで舞台中央のセットが夜空に上がっていったが、タイミングがちぐはぐで勿体なかった。
そうそう、今回は楽団の生演奏もなかったなぁ
もっと派手でいかがわしくてあやしくて切ない水族館劇場が観たい。
オールド水族館劇場ファンのわがままな感想でした。