
内掌典(ないしょうてん)は皇居の奥にある神座「賢所(けんしょ)」で掃除をしたり供物を上げ下げする人、数名の独身女性が住み込みで働いています。
この本はその仕事ぶり、生活ぶりの聞き書きですが、想像を超える世界でした。
特に戦前は休日もなく外出すらほとんどしなかったそうです。
とにかくオツトメの際には「清らか」でなくてならず、清めた後でうっかり自分の衣服に触れただけでも清めのやり直し、新人はとても苦労します。
戦後になると労基法が適用されたり任用期間が定まったり、とはいえ仕事内容は1000年以上変わっていないというのは驚きです。
天皇が亡くなった日ですら神様に仕えているのでいつものオツトメを淡々としたそうです。
そんな雲の上のような彼女たちですが、今はみんなでテレビを観たり、ときどき泊まりの旅行に出かけたり・・・
とにかく不思議な世界。
聞き書きなので御所言葉で書かれていてご覧の通り「御」「お」だらけ(笑)。

巻末付録に対照表が掲載されていますがほぼ分かりません。
平安時代から京都御所の中だけで使われてきたレアな言語です。

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