スティーブ・ガッドBHGプロジェクト 素晴らしい観客

スティーブ・ガッドのトリオ、BHGプロジェクトの川崎公演はとても心地いいものとなった。特に観客が素晴らしかったと思う。会場ミューザ川崎シンフォニーホールの1階から3階までほぼ満員、年齢的には私のご同輩が多かったが若い人もちらほら、きっとドラムをやっているのだろう。ドラムの神様ガッドを敬愛しまた憧れる人たち、深く音楽を理解している人々が集まり演奏を支えた。演奏者もそれに応え、会場は旧知の友人が集ったような穏やかな一体感に満ちた。
ガットの穏やかで誠実な人柄が演奏から伝わってくる。80歳とのことでパワードラムとはいかないがメンバーの音に寄り添いながら要所で提案的なリズムを精密に繰り出していく「いぶし銀」の凄技はさすが神様といわれるだけある。
3人の中で一番若いサックスのミカエル・ブリーは透明感のある明るく開放的な音でステージを華やかにした。人懐っこいキャラクターも楽しく観客を巻き込んだ。
ハモンドオルガンのダン・ヘマーは教会でもオルガンを弾いているとのことで、丁寧でお行儀が良いサウンド。ガツンとした音が好きな私はちょっと物足りなく感じた。ハモンドオルガン奏法については別記事で書く。
ところでチケット購入者の中から抽選で100人が前日、同会場で行われたトークショーとミニライブに招待された。めったにくじ引きに当たらない私がなんと当選2000人のホールを100人で借り切って3人の話と演奏を聴く幸運に恵まれた。
ミューザ川崎シンフォニーホールは初めてだった。巨大なパイプオルガンを中心に5層もある客席が曲線的に囲んでいて美しいホールだった。パイプオルガンの前ではさすがのハモンドもちっちゃく見えた。
このあとビルボード東京・大阪公演ツアーが続く。ビルボードのチケット代は10000円程度だがこのミューザ川崎公演は4000円と破格申し込んだときも何かの間違いではないかと思った。昔、私は公演制作の仕事をしていたのでついお金の勘定をしてしまう。ビルボードは最大300席だがミューザは2000席もあるから半分も売り切れば十分なギャラが出せるだろう。しかもミューザが主催なので会場費はかからない。




2025年10月　スティーブ・ガッドBHGプロジェクト　ミューザ川崎にて